No.275 介護士が注目すべき最新ニュース

2025年、介護業界はかつてない大きな転換期に差しかかっています。団塊の世代がすべて後期高齢者(75歳以上)となり、介護需要は急激に増加しています。一方で、介護士不足、制度改正、ICT導入など、現場の変化に対応する必要性も高まっています。本記事では、介護士が知っておくべき注目ニュースを分かりやすく整理し、それぞれが現場にどのような影響を及ぼすのかを丁寧に解説します。知っておくことで、自身の働き方やキャリア形成にも役立つ最新情報をぜひご活用ください。
処遇改善加算の一本化と賃上げの動き

2024年度の介護報酬改定によって、「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」が一本化され、「介護職員等処遇改善加算」として再編されました。これまで煩雑だった加算申請の手間が軽減され、現場にもより分かりやすい制度になった点が大きな特徴です。
この制度統合により、今後の加算取得がより広く実現できるようになり、実際に多くの事業所で介護士の基本給アップが報告されています。政府は2025年度にも2.0%のベースアップを推進する方針を掲げており、特に低賃金層の待遇改善が焦点となっています。介護士としてのモチベーションや離職率にも大きく関わるテーマであるため、所属法人の加算取得状況や給与改定の動向は継続的に確認しておくべきでしょう。
介護人材不足の加速と多様な働き方への転換

介護業界では慢性的な人材不足が続いていますが、2025年は特に団塊世代の後期高齢者入りにより、介護サービスの利用者が急増すると予測されています。国は“多様な働き方”による人材確保を目指し、副業・短時間勤務・シニア層の再雇用などを推進。現場でも、週2~3日勤務の非常勤介護士や、家事と両立できる時短勤務など、柔軟な労働形態が増えつつあります。
また、介護福祉士取得を目指す若手や、他業種からの転職者向けの研修制度も拡充中です。自治体ごとに独自の資格取得支援や就職ボーナス制度を設けるところもあり、自身のキャリアをどう設計するかがこれまで以上に問われる時代となっています。介護職は「一生の仕事」として安定性がある一方で、成長意欲や専門性がより重視される流れが加速しています。
ICT・AI導入による業務効率化と職場改善
近年、介護現場におけるICTやAIの活用が急速に進展しています。2024年以降、多くの施設でタブレット端末を用いた記録入力や、バイタルセンサーによる体調管理、見守りカメラの導入などが進みました。これらの導入は、特に夜勤時の安全管理や記録業務の軽減に大きく貢献しており、介護士の負担を軽減する重要な手段として注目されています。
一方で、導入されたシステムを活用しきれていない現場や、ITリテラシーに差があることも課題です。実際に「機械の扱いが難しい」「人間的なケアが疎かになるのでは」といった声もありますが、ICTはあくまでケアの質を高めるツールであることを理解し、現場に合わせた活用が求められます。
特に介護ロボットの活用や、スマートスピーカーを使った声かけ支援、排泄予測システムなど、技術革新は今後さらに進んでいく見込みです。新しいテクノロジーと介護士の経験をどう融合させていくかが、現場の未来を左右します。