No.272 介護士の悩みとそれを解消する方法とは

高齢化社会の中でますます必要とされている介護の仕事。人の命と生活を支えるやりがいのある職業である一方で、介護士の現場では身体的な負担、精神的ストレス、人間関係の悩みなど、さまざまな課題が日々の中に存在しています。本記事では、介護士が抱えやすい悩みの実態を具体的に見つめながら、それらを解消していくための方法を丁寧に解説していきます。働き続けるために、まずは自分自身をいたわることから始めてみましょう。
介護現場における悩みの実態を理解する

介護士の悩みとして最も多く聞かれるのが、身体的な疲労と精神的ストレスです。利用者の移乗や排泄介助など、体力を使う業務が日常的にある中で、人手不足による連勤や長時間労働が続くと、腰痛や肩こりといった慢性的な痛みに悩まされやすくなります。
また、精神的な面では、認知症のある利用者への対応や、急な症状変化への判断、利用者や家族からのクレームなどがストレスの原因になります。「言葉では感謝されるけど、実際の待遇や労働環境が見合っていない」といったジレンマを抱えながら働いている介護士も少なくありません。
さらに、同僚や上司との人間関係に悩む声も多く、「気軽に相談できる相手がいない」「小さなミスが責められる雰囲気がある」といった空気が、職場の居心地の悪さにつながっていることもあります。
自分自身のストレスや疲労に気づくことから始める

介護の現場では、常に“誰かのために”動くことが求められます。だからこそ、自分自身の感情や疲労に鈍感になってしまいがちです。「利用者のためだから」「他の職員も頑張ってるし」と無理を続けるうちに、気づかぬうちに心身の限界を超えてしまうこともあります。
「最近笑顔が減ったかも」「家に帰っても何もやる気が出ない」と感じたときは、心が疲れているサインです。まずは、自分の状態を正しく認識し、無理をしていないかをチェックしてみましょう。気持ちを言葉にして書き出すだけでも、内側にたまっていたストレスが少し和らぐことがあります。
感情を吐き出せる場所と人を持つ
職場での悩みを一人で抱え込むことは、心の疲弊を早めてしまいます。小さな不安や違和感でも、誰かに話すことで「それ、自分も感じてたよ」と共感されたり、思わぬアドバイスをもらえたりすることがあります。
同僚と休憩時間に雑談することも立派なストレスケアですし、信頼できる先輩に相談することも選択肢のひとつです。また、職場外に介護職の知人がいれば、別の施設の話を聞くことで視野が広がり、「今の職場だけがすべてじゃない」と思えるきっかけにもなります。
環境を変えるという選択肢も視野に入れる
どれだけセルフケアをしても、人間関係や職場の体制そのものがストレスの根本である場合、環境を変えることも必要です。転職という選択は、決して逃げではなく、自分を守る手段でもあります。
たとえば、小規模施設やデイサービス、訪問介護、グループホームなど、介護職といっても職場の雰囲気や業務内容は大きく異なります。「もっと利用者とじっくり関わりたい」「夜勤のない職場で働きたい」といった希望がある場合、それに合った現場に移ることで、悩みが大きく軽減される可能性があります。